プロフィール

tama_lion

Author:tama_lion
FC2ブログへようこそ!

最新記事
Tags
Twitter
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
Recommended

スポンサーサイト

-- --, -- | スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スラウェシ島のサルと人:民族霊長類学って何?

03 28, 2010 | Articles

0 Comments
スラウェシ島はアルファベットのKのような形をしたインドネシアの島。
ここには6種の固有種のマカクザルが住んでいます。
もっとも有名なのは島の北端に住むクロザル Macaca nigraでしょう。モアイ顔でモヒカンヘアの見た目は一度見たら忘れられません。


恐ろしげな顔に似合わず、ニホンザルやアカゲザルに比べて順位性が緩やかで寛容な社会に暮らすといわれています。これはスラウェシ島の他のマカクにもあてはまることです。
今回登場するのは他の種類で、島の中央部に住むトンケアンマカク Macaca tonkeanaと東南端の小さな島ブトン島に住むブトンマカク Macaca ochreata
彼らと島の人々とのかかわりを民族霊長類学という観点からみたこちらの論文の紹介です。
Riley, E. P. and Priston, N. E. 2010. Macaques in Farms and Folklore: Exploring the Human-Nonhuman Primate Interface in Sulawesi, Indonesia. American Journal of Primatology 71:1-7.

民族霊長類学 Ethnoprimatology とは聞き慣れない言葉ですが、霊長類の社会生態学、環境人類学、保全生物学をとりいれたアプローチで、ヒトとヒト以外の霊長類を同じ生態系の構成要素として考え、その関係を多面的にとらえることで霊長類保全に役立てよう、というものだそうです。
別に霊長類に限らなくても、とも思いますが、霊長類は研究者が多く、絶滅危惧種の割合が高く、しかもたいてい途上国に生息するためにこういう考え方がうまれているのでしょう。

スラウェシ島は生物多様性ホットスポットのひとつであるウォーレシアに含まれ、多数の固有種が生息する一方で商業伐採・移民政策・商品作物栽培などによって大規模な生態系の改変がおきている地域です。
2種のマカクは比較的劣化した森林でも生きられるものの、そうした場所では人間との接触が増加します。

そして起こるのが作物の食害。
トンケアンマカクが住むLore Lindu国立公園の場合、深刻なのはカカオプランテーションへの食害でした。インドネシアは世界第2位のカカオ輸出国であり、その8割をスラウェシ島で作っています。トンケアンマカクは森林の果実が豊富であってもカカオを食害するうえ、農民の見回りは効果がないこともわかりました。
一方ブトン島の場合、自給作物も換金作物も被害にあっていましたが自給作物の方が深刻で、ブトンマカクは採餌時間の1/3を農園からの略奪に費やしていました。

しかし農民の食害に対する態度は比較的寛容で、どちらの地域でも収穫量からすれば許容範囲と考えられていました。
さらにはサルは食害もするがカシューナッツなどの熟した実を落として収穫を手伝ってくれている、という人すらいたそうです。
性別や年齢、収入はサルの食害に対する認識に影響していなかったものの、ブトン島では宗教の影響がみられました。
焼畑や商業作物栽培を行う先住のブトン人は人に近いサルを殺すことをタブー視している一方、バリから移住してきたヒンドゥー教徒は、水田耕作を行うため被害をほとんど受けないにもかかわらず、またヒンドゥー教ではサルが神聖視されるにもかかわらず、サルを殺すことにためらいを持たないのです。

Lore Linduの民話ではトンケアンマカクは人の先祖であり、慣習法を守るものという重要な位置づけでした。ある話では、娘をサルたちに誘拐された男が取り返すためにサルと闘い、2頭を残して殺してしまったためにサルは復讐の機会をうかがっているとされています。またブトン島ではサルの話こそないものの、森は先祖の霊の集う場所とされ、伐採が避けられてきたためにサルの生息地が守られてきたと考えられます。

これらの地域は、人と野生動物の対立が深刻化する前に調査された希有なケースであると著者たちは考えており、とくに自給作物と商品作物の被害認識の違いなどに注目しながら、緩和策を実施し効果を検証していくべきだと述べています。
ニホンザルの食害に悩む下北半島の農家も、金銭的被害よりも自給・贈答用作物の被害の精神的ショックを訴えると「動物たちの反乱」にもありました。被害対策をする上で重要なトピックなようです。

スポンサーサイト

« アジアライオン-安住の地はどこに フォッサが日本にやってきた!(2)発達と繁殖 »

- Comments
0 Comments

管理者にだけ表示を許可する
- Trackbacks
0 Trackbacks


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。