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アフリカのオオカミ - Wolf in Jackal's Clothing

02 05, 2011 | Articles

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ハイイロオオカミ Canis lupus は北半球全域に分布し,人間によって多くの地域で絶滅に追いやられるまで,もっとも分布域の広い哺乳類でしたが,その分布域はこれまで考えられていた以上に広く,アフリカにまで及んでいたことがPLoS One掲載の論文で明らかになりました.
エジプトとエチオピアのジャッカルだと考えられてきた動物のDNAを調べた結果,ジャッカルよりもインドや中国のオオカミに近縁と判明したのです.

TVの動物番組に比較的よく出てくるのはセグロジャッカルですが,ジャッカルと呼ばれる動物は3種います.
セグロジャッカルは3種のなかで最も小型であり,アフリカ東部と南部に分布.
ヨコスジジャッカルは名前の通り側面に白いラインと白い尾先を持ち,セグロと一部で重複しながらアフリカの西~中南部に分布.
キンイロジャッカルはコヨーテに似た外見で,北~東アフリカのほかユーラシアにも西はイタリアから東はタイまで広く分布.
この研究の主役は,エジプトとエチオピアでキンイロジャッカルの亜種とされていた動物です.

セグロジャッカル Canis mesomelas


ヨコスジジャッカル Canis adustus


キンイロジャッカル Canis aureus


エジプトのキンイロジャッカル Canis aureus lupaster は大型で脚が長く,頭骨の特徴も他地域のキンイロジャッカルと異なっていて,ハイイロオオカミとの類似性はかの「ダーウィンの番犬」トマス・ハクスリーが19世紀に既に指摘していました.
分子系統学研究も2003年にリーズ大学の大学院生によって行われており,オオカミとの類似性が確認されたものの,サンプル数の少なさから分類の変更を提案するには至りませんでした.
PLoS Oneの研究ではこの2003年の研究に,著者らがエチオピアオオカミ Canis simensis の研究中に目撃した「オオカミっぽい」キンイロジャッカルの糞と死骸のDNAのサンプルを追加し,比較対象のオオカミやキンイロジャッカルのサンプルも増やして行われました.サンプルの採集場所と数はそれぞれ

キンイロジャッカル:セルビア3,イスラエル24,ケニア2,インド2
C. a. lupaster: エジプト7,エチオピア6.

オオカミはデータベースGenBankからカナダ,スウェーデン,サウジアラビア,日本(!)に加え,亜種インドオオカミ C. l. pallipes,亜種ヒマラヤオオカミ C. l. chanco(この2つは場所記載なし)を用いています.

著者らはミトコンドリアDNAの4つのプライマーを比較し,うち2つから系統樹を描きました.いずれもエジプトとエチオピアのC. a. lupasterがインドオオカミ・ヒマラヤオオカミと同じく古い系統のハイイロオオカミであることを示しています.それ以外のハイイロオオカミはより最近になって分布を広げた全北区 Holarctic オオカミとしてまとまり,これはインドオオカミとヒマラヤオオカミを別種と主張する研究とも一致する結果でした(サウジアラビアのオオカミがHolarcticの系統に入るのはちょっと変な気がしますが,言及はありません).

この結果は,2世紀越しの「エジプトオオカミか,エジプトジャッカルか」の論争に一応の決着をつけることになるでしょう.
アフリカオオカミ(仮)がどこまで分布しているのか,3種のジャッカルやエチオピアオオカミとどの程度分布が重なっているのか,形態的にキンイロジャッカルと区別する方法はあるのか,交雑はあるのかなど,新たな謎も少しずつ解明されていくことを期待したいですね.
BBCの記事の著者コメントにある「(西アフリカの)セネガルでもオオカミらしい動物がヨコスジジャッカルと群れをつくっている」というのも興味深いです.

参考文献
Rueness, E. K., Asmyhr, M. G., Sillero-Zubiri, C., Macdonald, D. W., Bekele, A., Atickem, A., et al. (2011). The Cryptic African Wolf: Canis aureus lupaster Is Not a Golden Jackal and Is Not Endemic to Egypt. (T. M. Gilbert, Ed.)PLoS ONE, 6(1), e16385. doi: 10.1371/journal.pone.0016385.
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