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マーゲイのタマリン狩りがちょっとスゴイかも

05 06, 2010 | Articles

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南米にマーゲイというヤマネコの一種がいます。
サイズは体重3-9キロと大きめのイエネコぐらい。大きな目と美しい毛皮、樹上生活に適応した長い尾を持っています。


今回紹介するのは、このかわいいマーゲイがフタイロタマリンというサルを狩るときに使うテクニックについての論文。
マイナーな雑誌に載った2ページの逸話的な観察報告ですが、もしかしたら大発見かもしれません。
なにしろタマリンの声をまねておびき寄せるというのです。

・・・ふーん、それで?と言われないためには少し解説が必要ですね。
普段人間はあまりにも当たり前にやっていることですが、音声学習、つまり聞いた声や音をまねる能力を持っている動物は、実は非常に限られています。
いままでに知られているのはスズメ目、オウム目、ハチドリ目の鳥と、哺乳類ではクジラ・イルカ、そしてヒトだけ。
ヒトにいちばん近いチンパンジーやボノボですら、聞いた声を「オウム返し」することはできません。
このことがわかるまで、比較認知科学の研究ではヒトの言語を類人猿にそのまま教えようと、多くの時間が浪費されましたが、現在では手話やタッチパネルを使った表象操作の研究に変わりました。
もうわかりました?音声学習は、ヒトが言語を獲得するのに重要な前適応だと考えられているんです。
そこに別の理由で進化した意味体系と文法が加わって言語となった、というのが言語進化のひとつのシナリオです。
そんな音声模倣を、食肉目ネコ科のマーゲイが、野生でやっている?!
ちょっとスゴさが伝わりました?

では、その観察の部分を読んでみましょう。

9:13 地上15mのイチジクの木の上で、8頭のフタイロタマリンが実を食べている。イチジクにはつるが絡まり周りの木とつながっている。
9:18 マーゲイがタマリンのこどもの声に似た声を発し、見張りのタマリンの注意を引く。見張りの成獣オスは木を上下に移動し、絡まったつるの陰から聞こえた声の正体をさぐる。警戒姿勢をとり、きまった声で群のほかの個体にあやしい声がしたことを知らせる。
9:22 つるの向こうでマーゲイが動いた。まだタマリンのまねをした声を出し続けている。
9:29 3頭のタマリンがイチジクを食べている。見張りはまだ警戒している。
9:40 見張りが繰り返し攻撃的な声で鳴くのを聞き、4頭のタマリンが木を上下に動き回る。その瞬間、マーゲイが頭を下に木を降りてきて、つるに飛び移ると、15m先のタマリンがえさを食べていた場所に向かった。見張りは高い叫び声をあげ、タマリンの群は即座に逃げた。



これだけ?はい、これだけです。
マーゲイの声がどれくらいタマリンのこどもの声に似ていたのか、マーゲイの普段の声とどれくらい違うのかがわからないとなんとも言えない、という感じもしますね。
興味深いことに、ネコ科動物が獲物の声をまねておびき寄せるという話はアマゾンに住む人々のなかでは広く知られていて、ピューマやジャガー、オセロットも同じようにアグーチ(大型のネズミの仲間)やシギダチョウを呼ぶとされているのだそうです。
鳴き真似でよく知られるモズも、獲物をおびき寄せているという説がありますが、これも検証した論文は知る限りひとつしかなく、真偽のほどは定かではありません。
ネコ好きとしてはネコ科の賢さを主張する根拠にしたいところですが、、、もうちょっと待った方がいいかもしれませんね。
ちなみにフタイロタマリンはこんなサル。


なお、この記事はTwitterで@isseccanadaさんの紹介で知りました。感謝!

参考文献
de Oliveira Calleia, F., Rohe, F. and Gordo, M. 2009. Hunting Strategy of the Margay (Leopardus wiedii) to Attract the Wild Pied Tamarin (Saguinus bicolor). Neotropical Primates 16, 32-34.
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スラウェシ島のサルと人:民族霊長類学って何?

03 28, 2010 | Articles

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スラウェシ島はアルファベットのKのような形をしたインドネシアの島。
ここには6種の固有種のマカクザルが住んでいます。
もっとも有名なのは島の北端に住むクロザル Macaca nigraでしょう。モアイ顔でモヒカンヘアの見た目は一度見たら忘れられません。


恐ろしげな顔に似合わず、ニホンザルやアカゲザルに比べて順位性が緩やかで寛容な社会に暮らすといわれています。これはスラウェシ島の他のマカクにもあてはまることです。
今回登場するのは他の種類で、島の中央部に住むトンケアンマカク Macaca tonkeanaと東南端の小さな島ブトン島に住むブトンマカク Macaca ochreata
彼らと島の人々とのかかわりを民族霊長類学という観点からみたこちらの論文の紹介です。
Riley, E. P. and Priston, N. E. 2010. Macaques in Farms and Folklore: Exploring the Human-Nonhuman Primate Interface in Sulawesi, Indonesia. American Journal of Primatology 71:1-7.

民族霊長類学 Ethnoprimatology とは聞き慣れない言葉ですが、霊長類の社会生態学、環境人類学、保全生物学をとりいれたアプローチで、ヒトとヒト以外の霊長類を同じ生態系の構成要素として考え、その関係を多面的にとらえることで霊長類保全に役立てよう、というものだそうです。
別に霊長類に限らなくても、とも思いますが、霊長類は研究者が多く、絶滅危惧種の割合が高く、しかもたいてい途上国に生息するためにこういう考え方がうまれているのでしょう。

スラウェシ島は生物多様性ホットスポットのひとつであるウォーレシアに含まれ、多数の固有種が生息する一方で商業伐採・移民政策・商品作物栽培などによって大規模な生態系の改変がおきている地域です。
2種のマカクは比較的劣化した森林でも生きられるものの、そうした場所では人間との接触が増加します。

そして起こるのが作物の食害。
トンケアンマカクが住むLore Lindu国立公園の場合、深刻なのはカカオプランテーションへの食害でした。インドネシアは世界第2位のカカオ輸出国であり、その8割をスラウェシ島で作っています。トンケアンマカクは森林の果実が豊富であってもカカオを食害するうえ、農民の見回りは効果がないこともわかりました。
一方ブトン島の場合、自給作物も換金作物も被害にあっていましたが自給作物の方が深刻で、ブトンマカクは採餌時間の1/3を農園からの略奪に費やしていました。

しかし農民の食害に対する態度は比較的寛容で、どちらの地域でも収穫量からすれば許容範囲と考えられていました。
さらにはサルは食害もするがカシューナッツなどの熟した実を落として収穫を手伝ってくれている、という人すらいたそうです。
性別や年齢、収入はサルの食害に対する認識に影響していなかったものの、ブトン島では宗教の影響がみられました。
焼畑や商業作物栽培を行う先住のブトン人は人に近いサルを殺すことをタブー視している一方、バリから移住してきたヒンドゥー教徒は、水田耕作を行うため被害をほとんど受けないにもかかわらず、またヒンドゥー教ではサルが神聖視されるにもかかわらず、サルを殺すことにためらいを持たないのです。

Lore Linduの民話ではトンケアンマカクは人の先祖であり、慣習法を守るものという重要な位置づけでした。ある話では、娘をサルたちに誘拐された男が取り返すためにサルと闘い、2頭を残して殺してしまったためにサルは復讐の機会をうかがっているとされています。またブトン島ではサルの話こそないものの、森は先祖の霊の集う場所とされ、伐採が避けられてきたためにサルの生息地が守られてきたと考えられます。

これらの地域は、人と野生動物の対立が深刻化する前に調査された希有なケースであると著者たちは考えており、とくに自給作物と商品作物の被害認識の違いなどに注目しながら、緩和策を実施し効果を検証していくべきだと述べています。
ニホンザルの食害に悩む下北半島の農家も、金銭的被害よりも自給・贈答用作物の被害の精神的ショックを訴えると「動物たちの反乱」にもありました。被害対策をする上で重要なトピックなようです。

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